「最高のスキー仲間」 俺が佐々木明という人物に対して持っている印象はこの言葉に尽きる。 アキラとの出会いは今から約10年前のことだったと思う。 当時、お互い高校生だった僕らはイタリアのスキー場で別々のアルペン合宿に参加していた。俺もまだワンピース姿にヘルメット、曲がったストックにビンビンにエッジがたったレーシングスキー。アルペンの成績にしかこだわっていないクソまじめなアルペンレーサーだった。 一方、アキラはこのときからスキーを最高に楽しむことを最優先していて、アルペンレーサーという言葉に収まりきらないスキーヤーだった。当時、アキラは俺の中にあった普通のアルペンレーサー像とはかけ離れた存在だった。 そして、自分とは全く違った考えや行動をとるアキラは俺にとって衝撃的な人物だった。「トレーニングしっかりやっているのか」って思うけど大会に出れば同年代で敵なし状態、大会の前後はツインチップのスキーを履いて危険な斜面を滑り、キッカーでは当時俺もできなかったようなスピンをメイク。こいつは普通じゃないなと思ったのと、正直この人は違う世界でスキーに向き合っているって思ったのを覚えている。その一方で、アキラは俺に無いもの沢山持っているなって思って、「一緒に滑ってみたいな」とも思ったのをハッキリ覚えている。